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難症例 各項目における症例・シチエーション対策(ハヤシダが考える)

難症例 各項目における症例・シチエーション対策

さて今回は前回に引き続きまして、静脈内鎮静法の各項目における症例・シチエーション対策に関するお話です。

そもそも静脈内鎮静法は全身麻酔よりも遥かに難しいといえます、その理由としては、操作自体が全身麻酔よりシンプルな分、全身麻酔と比較して以下の様な難しさがあります。

①使用可能な薬剤の制限があり、②意識がある状態を維持、③疼痛に対しても敏感、④気道閉塞のリスクがある状態で自発呼吸にて維持しなければならない、⑤確実な気道確保がない、⑥術中体動がある、⑦反射を消失させていない(ムセる可能性があり)、⑧点滴が麻酔深度の生命線になってしまう、⑨鎮静薬自体の鎮痛効果がない(もしくは少ない)、⑩鎮静効果や健忘効果の判断が困難。

それに加えて、歯科治療特有の術野と気道の位置が重複しやすく、頭部に振動がある為、BISモニターや心電図を装着しても診断が困難となりやすくなすいという要素が上乗せされます。また、全身状態の悪化や手術自体の侵襲、生活習慣の影響が強くなる事で困難さに拍車がかかります。

このように難しい理由について、列記しましたが、逆に言えばコレだけ難しい理由がハッキリしているというのも事実です。前回お話した難症例は静脈内鎮静法自体の難しさのレベルを跳ね上げる4要素についての記載となります。下記にその対策について私なりに検討してみましたので、ご一読ください。

侵襲の強い手術で閾値の低いまたは炎症の強い症例

これに関しましては、術式と進行状況の把握、画像確認、こういった事が実はとても重要になります。例えば、嚢胞摘出し掻把を行うような場合、炎症の強い嚢胞においては高確率で疼痛を伴います。ですので、そこで、局所麻酔を追加してもらう、鎮静度と健忘効果を上げておく、場合によってはマルチモーダル鎮痛のような鎮痛を検討する。こういった対策をとる事で安全な管理ができる可能性があります。

ムセやすい症例

こちらは、管理がとても難しく、やはり困難である事に変わりません。特に気道が過敏な方というのは、どうしても発症しやすい問題があります。しかし、少なくする事は可能かと思います。例えば、表面麻酔効果のあるような薬剤をうまく使う、気管支拡張薬のような薬剤をうまく使う、原因となっているような分泌物があれば吸引を行う。極力バキュームで水や血液の流入を抑える。こうした事でムセは減らす事は出来ると思います。

出血の多い症例

出血の多い症例も手術を難しいものとします。しかし、こちらは術前からの管理によって、難しさを軽減できる可能性があります。これが何かというと問診と採血です。術前に体質的なもの、習慣的なもの、こういった事をよく把握しておく事でそうしたリスクを減弱させられる可能性があります。また術中に関しては、毛細血管抵抗性を向上させる様な薬剤や血液凝固因子に働きかけるような薬剤を併用したり、血圧を下げる麻酔を心掛けたり、出血の出そうな部位や術式を把握する事で対策出来る可能性があります。術後に関しては、輸液を工夫する等する事で最悪を避けられる可能性があります。

全身状態の問題があったり体質的に困難にする要因のある症例

コチラに関してもやはり重要な事は術前にしっかりと把握して、先手先手で対策をとっておくという事です。採血等を行う事は目には見えないリスクを炙り出す事につながります。また、周囲と情報共有しておく事、万一の場合を考えて、ホットラインを確立しておくことも重要となります。


まとめ

上記はどれも常に先回りして、構造化する事を意識して記載しております。行き当たりばったりで行うと問題として表に現れた場合、後手に回ってしまい、予期せぬ困難なものとなりますが、予測と構造化ができていれば、起こり得る事として対策が可能となります。静脈内鎮静法がうまくいく事で手術も行いやすく、安全で患者さんも安心したものになります。
私はこうした事を意識しつつ、今日も麻酔という仕事に従事します。

 

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